芥川龍之介のファンです

芥川龍之介の書く文章が魅力的すぎる。天才。

特にお気に入りの小説を6選紹介。

ネタバレのところは小文字です。

 

羅生門

この小説に登場する主人公、下人は、生き延びる為には、盗むか餓死するか究極の選択が迫られていて、その狭間で心が揺れていた。
そんな時、目の前で死人の髪を引きちぎって、それを生き延びるためのお金に変えようとする老婆を見つける。すると、盗むという選択肢を考えていたはずの、揺れ動いていた心はどこへやら。

自分の中の正義観が現れ、老婆を攻め始める。
しかし、老婆の言い分を聞いているうちに、
「自分も老婆のように、生きていくためには盗むしかないんだ」と自分が盗むことを肯定出来るようになり、老婆の着物を無理やり脱がせ、暗闇に消えていく。

人は皆、無意識のうちに自分を正当化する理由を探しているのかもしれない。追い詰められた時、こうやって簡単に、運命が左右されるのかもしれないと思った。

 

地獄変
芸術至上主義を書いたといわれるこの作品。
芸術のためには何を犠牲にしてまでもそれに尽くさなければならないというように、人間の執念を貫き通した先の美しさや愚かさが書かれている。
(日本の社会のしくみにも通じるところがあるのでは)

 

・鼻
人は、自分よりも不幸な人がいれば同情するくせに、その人が幸せになった途端、再びその不幸に陥れたいという欲求に駆られるのである。結局、どちらに転がっても、不幸が訪れるという恐怖と、それなら人に同情してもらった方が良いという感情がサラッと表現されているように思う。読んでてしんどい。僧は自分の鼻のことを気にしていたんじゃない。人の目を気にしていたんだなぁ。

 

・トロッコ
自ら、その道(人生)に進むことは不幸を意味するとわかっていても、人による支配や期待などから引き返すことができない苦しみを書いている。
早く引き返せる場面はたくさんあったのに、自分の弱さからズルズルと引き返せないところまできてしまったという後悔と絶望は、私にも刺さるところがある。

 

・蛙

「食われた蛙は、多数の幸福の為に捧げられた犠牲だと思うがいい。そうだ。蛇も我々蛙の為にある。」

のほほんとした話かと思いきや、急なホラー展開にゾッとするお話。まあ、芥川はそうだよなぁ。蛙を人間に置き換えると怖い。でも癖になって何回も見てしまう自分がいる。五分で読めるので、小説が苦手な人にもオススメ。

 

・年末の1日

これも15分くらいで読めるので、つい何回も見てしまう。最近は特にこればかりだ。年末の1日は、夏目漱石のことが綴られていて、芥川の心の苦しみがあらゆる場面から溢れ出ている。文章は、調子が良い頃の芥川に比べて、少しボヤッとした印象。だが、それがまた、この文章の魅力だと思う。最後の荷車を押す芥川の光景には、思わず涙が出る。

 

他には孤独地獄・ピアノ・悪魔などが好きだが、感じたことを上手く表現出来そうにないので省略。

 

残念ながら、友達には芥川龍之介の小説が好きな人がいない。というか、本が好きな人自体、私の友達にはあまりいなくて、共有出来ないのが少し寂しい。

最近、ブログの閲覧回数が増えているので、

ちょっと文章が長すぎる気もしながら、載せてみた。